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ファーマウェイ定例勉強会【平成27年9月】

今回の勉強会では、科研製薬株式会社ご担当の方に、褥瘡についてご講演頂きました。

下記に詳細な内容について記載します。

 

褥瘡は普段体重の圧力を受けていない一定の部位に、一定時間以上の圧力が加わることにより、皮下組織の血行が障害され、虚血壊死が起こる事により発生する。その好発部位は体重の圧力を受けやすい骨の突出部分である仙骨部、肩甲骨部、腸骨稜部、大転子部、外果部等である。

 

褥瘡発生の初期の徴候は、皮膚の発赤である。この時点で適切な対処を行うことにより、褥瘡に至る前に予防する、もしくは褥瘡に至っても早期治癒が可能となりうるため、褥瘡の好発部位を丁寧に観察することが大切である。

 

褥瘡の創評価ツールとしては日本褥瘡学会が作成したDESIGN-Rが用いられる。DESIGN-Rは褥瘡の状態を、深さ(D)、浸出液(E)、大きさ(S)、感染(I)、肉芽形成(G)、壊死組織(N)、ポケット(P)7項目で評価する。総点で褥瘡の重症度を表すことが可能であり、12週間に1回採点することが推奨される。

 

皮膚の障害が真皮を超えた深い褥瘡は、創面の色調や深さの程度によって炎症期(黒色期)、浸出期(黄色期)、肉芽形成期(赤色期)上皮形成期(白色期)に分類される。

 

黒色期、黄色期ではWound Bed Preparation(WBP)に基づく治療が行われる。WBPとは創面の治癒を促進するため、創面の環境を整えることである。WBPのための実践的指針としてTIMEコンセプトがある。

 

Tissue non-viable or deficient(壊死組織・活性のない組織の管理)損傷した細胞外マトリックス、活性を失った細胞の残屑や壊死組織があると創傷治癒を阻害されるため、壊死組織・不活性組織の除去、デブリードマンを実施する。デブリードマンには外科的デブリードマン、科学的デブリードマン、生物学的デブリードマン、自己融解デブリードマン、物理的デブリードマンがあるが、このうち自己融解デブリードマン、物理的デブリードマンは看護師が実施できるデブリードマンである。

 

Infection or inflammation(感染または炎症の管理)

炎症を遷延させるため、感染のコントロールが重要となる。創面の細菌を減少させるため、創の洗浄を行い、抗菌作用のある外用薬や創傷被覆材を使用する。創の洗浄には、以前は生理食塩水が多く用いられていたが、現在では通常の水道水が用いられるようになっている。

 

Moisture imbalance(湿潤の不均衡の管理)創面が乾燥すると上皮化が妨げられ、浸出液が過剰に存在すると創縁の細胞が障害されるため、浸出液のバランスを保つ。

 

Edge of wound non-advancing or undermined epidermal margin

(創辺縁の表皮進展不良あるいは表皮の巻き込みの管理)

創の辺縁に浸出液による浸軟や身体のずれ、創傷被覆材でのずれなどの刺激があると、創の辺縁の表皮進展不良や巻き込みが発生し創収縮がしにくい。治療としてはデブリードマン等が実施され、予防としては浸出液をコントロールし、圧迫・ずれを回避するよう対策を講じる。

 

肉芽形成期(赤色期)上皮形成期(白色期)ではMoist wound healingに基づく治療が行われる。Moist wound healingは創に対し浸潤した環境を維持し創傷治癒を促すことである。

Moist wound healingを達成するためには、適切な外用剤・創傷被覆材を使用し、浸出液をうまく管理することが重要である。

 

創傷被覆材は創の深さ、浸出液の多さで選択される。創傷被覆材は皮膚欠損用創傷被覆材として機能区分ごとに保険償還の価格が決められている。皮膚欠損用創傷被覆材は保険上2週間(特に必要と認められた場合は3週間)の使用が限度となる。

 

浸出液が少ない創に対してはゲーベンクリーム・オルセノン軟膏が用いられ、浸出液が多い創に対してはカデックス軟膏、ユーパスタコーワ軟膏、アクトシン軟膏が用いたれる。

浸出液に特に影響を与えない外用薬としてはプロステンディン軟膏、フィブラストスプレーがある。

 

フィブラストスプレーは人bFGFを主成分とする褥瘡・皮膚潰瘍治療剤である。血管新生作用および線維芽細胞増殖促進作用により、新生血管に富んだ良性肉芽を形成させる。フィブラストスプレーは患部から約5cm離して、11回一度に5噴霧する。噴霧後30秒程度待ってから患部を被覆材で覆う。この5-5-30を守ればどの被覆材でも使用可能であるが、

保険適用期間以降や在宅では保険償還のない一般医療機器である非固着性ドレッシング剤(エスアイエイド等)が使用されている。

 

褥瘡の基礎から治療に用いる被覆材・外用剤まで詳細にわかりやすく解説頂き、非常に有意義な勉強会となりました。

情報更新日:2015年09月14日
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